季節は廻り木の芽どき

今頃の季節になると何やらココロ落ち着かず
精神に失調をきたしたり変なもの喰ってオナカを壊したり
俺を含め不穏な日々を送る人々も多いのだという
そんな与太話を以前お話したことがあったと思う
だが年老いて俺の感受性も枯れてしまったのだろうか
最近ではそんなこともなくココロいたって平穏で
釣れない釣りに逝くことも減り
60cmオーバーの乗っ込みマダイを仕留めたとの知らせにも

まだ若かった頃のように嫉妬することもなく
ハラボテだからたいして旨くないでしょうなどと
ココロ穏やかに祝福することができるのだ
...
さて春から夏に移ろう風に吹かれながら
俺の自然農園(狭い庭)を眺めていると
完熟して落果したアマナツが転がっていた

そう言えば皮をムクのがメンドクサイから
長年ないがしろにしていたアマナツの実を
切り方に工夫するだけで旨く喰えるようになったと
去年の今頃御報告したことがあったと思う
その際にこのアマナツでウォッカを飲ることがあると
お話ししかけたかと思うが
今日はそのお話をもう少し詳しくしてみたい
緑の風に吹かれながら飲るにふさわしい
ウォッカとその呑み方について
俺の流儀を皆さんにお話ししたいと思うのだ
...
ポーランドにズブロッカというウォッカがある
瓶の中にイネ科らしい草の茎が一本入っていて
そのせいかうっすらと緑の色を帯びている
ヨーロッパバイソン(野牛)が喰う草だそうで
ラベルにその野牛の絵が描いてあるのも楽しい
俺はこのウォッカを学生の頃知った
爾来愛飲して今日に至るのだが
俺が飲む酒だからどちらかといえば安酒だ

だが安酒だからといってバカには出来ない
アルコール度数40%でも舌触り優しく
フクイクと香るこの酒を俺は高く評価している
呑んだ後もワケあって壮大なココロ持ちになる
このズブロッカを物見高い皆さんに
お勧めしたいと俺は思うのだ
...
買ってきたズブロッカは冷凍庫に放り込む

俺はマティーニを作るジンやウォッカも
炭酸で割るウィスキーも大抵こうする
アルコール度数が高いから中身が凍る心配はない
アマナツの傍らにアスパラガスが萌え出ていたから

ついでにポキリと折り採ってこよう
採りたてだから一瞬だけ茹でてゴマダレで喰う
アマナツはいつもの切り方だ

アマナツとアスパラだけではちょっと物足りないだろう
好物の羊が安くなっていたので買ってきた

今時分のニュージーランドの子羊は
スプリングラムといってとても旨いと謳っている
まさに晩春の膳にふさわしい肉じゃないか
...
ん?ニュージーランドはいま秋じゃないかと訝りながら
スパイスを効かせてラムを焼いたらさあどうぞ

...
冷凍庫から出してグラスに注いだズブロッカは
凍ってはいないが少しトロリとしている

オンザロックもイイがこのままでも充分冷たい
常温よりも香りは立たないが
俺にはこの状態が一番旨く感じられる
一口きゅっと飲ってアマナツをひと齧り
強い酒の刺激をアマナツのジュースが和らげる
生に近いアスパラガスの香りと歯触りを楽しんだら
口中のゴマダレをズブロッカですすぐ
香ばしく網焼いた肉汁滴る子羊の肉が
この酒に合わないワケがないだろう
...
アルコール40度の酒をストレートで呑むのだから
過ぎないように注意しなければならないが
こうして呑めばどうしたって
呑み過ぎちまうってもんだろう
充分呑んだらトイレに立っていただきたい
トイレでおしっこをしていただきたいのだ

ここからがズブロッカの真骨頂で
酒中に浸出したバイソングラスの成分が
腎臓を通過しまるで再び生命を与えられたかのように
おしっこの湯気としてイキイキと香り立つ
目を瞑り恍惚としておしっこするアナタのココロは
春から夏に向かって吹く風に乗って
ヨーロッパバイソンが草を食むポーランドの
広大な緑一面の牧場へと飛んでいくことだろう

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