ある晩俺は磯でフカセていた
狙いはもちろんクロダイとメジナで
波間にゆらりと赤く光るウキが沈むたび
俺のココロは期待にときめいた
嬉しいな
産卵から完全に回復したパワフルなメジナだ
楽しいな
でもたまには違う魚が釣れないかな
...
たくさん釣れたクチブトメジナに満足し
俺は竿をたたんだ
中くらいを三枚〆て丁寧に血抜きをし
ハラワタを出して海水で洗った
夏場のクチブトを旨く喰ってこそ
真の魚喰いと言えるだろう
...
エサやら釣道具やら〆たクチブトメジナやら
諸々を放り込んだランドリーショイコを背負い
俺は貝殻混じりの粗い砂の上を歩いていた
おや、ずいぶん沖に見える根の先端辺り
何やらボンヤリと光って見えるぞ
塩で曇ったメガネをタオルで拭き
よくよく夜目を凝らして見てみると
このあいだ魚をくれた御坊様が修業しているようで
またまたフエダイをもらってしまった
つぶらな瞳がカワユス
いかに俺の日頃の行いが善いからといっても
貴重なフエダイををひと夏に二枚もくださるなんて
まったくもって文字通り有り難い話で
とても現世の御坊様とは思えない
ごめんなすって といいながら去って逝ったから
ひょっとすると江戸時代の頃の
高僧の生まれ変わりなのかもしれないなぁ
イメージ画像です
...
フエダイを最上に味わい尽くすには
身をサクに取って刺身にし残りはアラ煮だろう
だが今回はこのフエダイを丸のまま煮てみたい
俺はその料理を夜釣り教の広報サイトで見た
夜釣り教の面々にとってフエダイは
既に何のプレミアムもないフツーの魚らしく
無造作に丸のまま煮付けられていたのだ
俺もこのもらったフエダイでそんなゼイタクをしてみたい
おや、何ですと
釣りブログのクセにいつももらった魚ばかりで
記事を書くのはいかがなものかとおっしゃるか
釣師としてのプライドはないのかとおっしゃるか
そんなものはない(キリッ
...
喰う際にウロコが口中に入るのは興醒めなものだから
ウロコはヒレの付け根まで念入りに落そう
これは大切
腹は割かずにエラと胃袋をツボ抜く
ミカン色は内臓脂肪
身が暴れないよう切れ目を入れて
煮汁も沁み込む
一番直径のデカい鍋に入れたが収まらない
シッポがはみ出てしまう
どうしても姿煮にしたいので悩んだが
結局思案の末こうなった
オトナの妥協
ゴボウも一緒に煮てみよう
俺は見切り品に弱い
フエダイを煮てる間にもうひと仕事
嫁とセガレのためにクチブトを刺身にした
ココロなしかぞんざい
...
結局皿にも収まらない
嫁に 旨い刺身を造ってやったぞ と声をかけ
俺は煮ものでいいや と言ってフエダイを独り占めする
周辺からじらして攻めるセオリー通りゴボウから喰うが
フエダイ出汁の煮汁と土の香りが相まって
これがしみじみ旨いのだ
健康にも良さそうだ
たくましく盛り上がった胸鰭の付け根の身肉をむしる
しっかりとした歯応えで俺の好む部位だ
ウロコはちゃんと取ってね
腹まわりのやや軟らかく脂の乗った
身肉を愛好する向きも多いだろう
どっちも旨い
禁断の内臓脂肪も入ってるぞ
磯くちゃい
...
肴が旨いと酒もすすむ
フエダイの半身を喰って俺は箸を置いた
さすがに丸々一匹は喰い切れない
満足じゃ
その頃になってクチブトの刺身を喰い尽くした嫁が
煮た魚も喰いたい と欲深なことを言い出した
喰い意地の張ったヤツめ と一喝すべきところだが
肴が旨いとココロも優しくほぐれるのだろう
酔ってはいたが俺は嫁のために台所に立ち
クチブトのアタマを煮てやった
残ったフエダイの半身と煮汁の煮凝りで
明日も旨い酒が飲めるだろう
ありがたや ありがたや
俺は千葉の方角に向かってコウベを垂れ
両の手をそっと合わせた
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最後まで読んでくれてありがとう
希少なフエを譲られる奇特な方はやはり御坊様でしたか。
今回のブログの画像見て得心がいきました(笑)
何時も覗くスーパーでは鮭やイクラが並び始めました。
フエも食いたし、イクラも食いたや。
あとひと月で健康診断
katsuさん、こんにちは。
拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
もうすぐ健康診断とのこと、健康に留意されて結構なことです。
でもそれならフエダイは脂がのりすぎていて、お勧めできません。
ここはさっぱりとクチブトメジナにしてください。
イクラも控えて白子にしてくださいね(笑。
磯トンボさん、おはようございます。
拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
そうなんです、我々釣り人は新鮮な獲物が手に入るためつい刺身にしてしまいがちですが、フエダイの煮付けは秀逸ですね。
もちろん刺身も旨いのですが(笑。
クチブトの刺身の若干ぞんざいな感じ、そして奥さんへはフエの煮つけを喰わせずにクチブトの煮つけとは(爆)
そうとう爆笑させていただきやした♪
台風の影響が落ち着いたらあっしも今シーズン〆の1枚を捕獲しに逝ってみようかと思いやす♪
また来年の夏までお別れでござんすからキアイを入れて何とか捕獲してぇもんです(^^)
御免なすってw
海おとこさん、おはようございます。
拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
台風が過ぎればもう秋磯ですね。
一年で一番水温が高い時期ですから、南方系の魚が釣れ続いてもいいと思うのですが、どうもフエはそうではないようですね。
でも房総の海も年々変わってきているようですから、ちょっと期待したいところです(笑。
くんさん、初めまして、こんにちは。
お初にコメントくださり、ありがとうございます。
こんな与太話を待ってくださると言っていただけるなんて、とても嬉しいことです。
生来のナマケグセに任せて長くお休みしてしまいましたが、またヨロヨロと書き散らしていこうと思います。
変わらぬクダラナイお話ばかりですので、あまり期待なさらずにお待ちください(笑。
私のワガママに答えて下さり、ありがとうございます。身勝手なコメントをしたことを恥じております。(._.)
また咲いたマンさんの痛快な釣りとhard-boiledな記事を待ってます(・ω・)ノ