野坂昭如をご存じか
死んだと聞いた記憶はないのでまだ生きてるのだろう
本を書いたり唄を歌ったり酔っぱらって毒づいたり
イロイロ多才な爺さんなんだが本業は小説家か
野坂昭如の名前を知らないお若い方も
「火垂るの墓」の作者だと言えばわかるんじゃないか
日本共産党の親玉かって
節子そりゃ野坂参三や
...
俺がまだガキだった頃野坂昭如は不良中年で
「週刊プレイボーイ」に連載記事を書いていた
チェリーだったあの頃
テーマは一貫して自家製ドラッグだったような
今からすればえらく反社会的な内容だが
その頃はそれも許される時代だったのだ
ポール・マッカートニーや井上陽水
多くのアーティストが大麻で御用になっていて
思春期の俺はそれに憬れた
「週プレ」のグラビアを鑑賞した後は必ず
野坂昭如の連載記事を読んでは
バナナの皮の裏を削って干して吸引したり
龍角散を振りかけた煙草をふかしてみたり
そんなことくらいでラりってる気分になってしまう
俺にもそういう微笑ましい少年時代があったのだ
カラダだけは汚れてなかった
...
さて先日仕事をサボって調べ物をしていると
ずいぶん昔の不思議な事件の記事に目がとまった
ある初夏の朝山梨県の山間の小さな町で
疲労困憊で足元もおぼつかない中年の男二人が保護されたという
幻覚に襲われて一晩山中を彷徨っていたらしい
調べの結果二人は毒草を誤食したことが分かった
その毒草の名はハシリドコロ
なかなか旨そうだ
喰えば錯乱して走り回ることからその名が付いたようだ
その記事に俺のココロの中の少年が激しく反応した
素敵じゃないか
大自然の中ハシリドコロをキメてトリップする
クールじゃないか
六本木辺りで不良外人からイケナイお薬を入手して
汚れた空気の中で吸ったりするよりずっとカッコイイ
時空を超えてその二人の男に訊いてみたい
アンタら知ってて喰っただろう
これはぜひとも採って喰ってみたい
新緑薫る五月の高原でそよ風に吹かれ
ハシリドコロのおひたしをしこたまキメて
幻覚を追いつ追われつ疾走してみたい
ビタミンCも入っていてカラダにも良さそうだ
不良少年のココロ赴くままに俺は
エンジンに火を入れ車を乗り出した
ハシリドコロを探しに北へと走ったのだ
通報すんなよw
...
ご多分にもれずここ栃木の山奥にも
意味の無い林道がずいぶん作られている
公共事業が主産業である日本の田舎町
林道、農道、砂防ダム、漁港整備
その功罪は理解してるつもりだが
俺にはちょっと目に余る
目には余るが無かった昔には戻れない
山菜採りにでも使わせてもらおう
あちゃー
山肌は何もしなくても崩れていくものだが
たいていは林道の存在が原因で崩落する
それを修復してはまた崩れる
現代版賽の河原だ
やれやれ
...
ずいぶんと上流まで登ってみた
この辺の山は東京電力の管理地が多いが
いつもの駐車スペースが
海だけじゃないのだ
東電よ、どうしちまったんだ
叩かれすぎてココロの余裕を失ったのか
こんなんばっか
車を降りるとニホンザルがいた
ニホンザルには萌えない
むしろ群れていると怖いが今日は二匹なので大丈夫
それでも生意気にも俺をちょっと威嚇してから
ゆっくりと山に帰っていった
...
サルを追うように山へ入っていく
おやっ、毒旨そうな山草があるぞ
ツヤツヤの葉っぱ
これはウバユリだな
夏に百合らしからぬみっともない花を咲かせるが
百合だけあって根茎は百合根として喰える
おおっ、あの新芽こそはどうだ
これも毒旨そうだ
残念ながらこれはオオバギボウシだ
俺の好きな山菜でウルイと言ったほうが通りがいいか
小さい斑入りの園芸種が庭に植わっていたりする
ハシリドコロを探して谷に降り立つと
もう山岳渓流だ
水面に落ちたカゲロウが羽を震わせている
見えるかな
水温を計ると
9度
ちょっと毛鉤を浮かべてみるか
...
さすがにGW直後の真昼間はシブい
小場所を丹念に撃つ
魚はいないわけじゃない
暗い小さなポイントでは
イワナは渓のドジョウだね
明るく開けたポイントでは
さんざん叩かれてるだろう
ヤル気のヤマメ君
谷間の釣りも楽しいが
ハシリドコロは見つからない
大きく下流に下ってみよう
...
河畔林を歩いてみる
前回採ったコゴミはすっかり葉を広げていた
こうなるともう喰えない
山菜採りには時期遅れのこれからが結構大切で
成長した葉っぱや花を見つけて
ああウドがこんな所に生えているぞとか
いい匂いでヤマユリが咲いてるとか覚えておいて
翌シーズンの旬にそこを探せばいい
そうして自分のポイントを増やしていくのだ
何百株もの葉を広げたコゴミの中には
こんなトボケた個体もあったりする
他のみんなはオトナなのに
名残りのコゴミをいただくことにしよう
...
ハシリドコロは見つからない
採ろうとするとなかなか無いもんだ
それでも嬉しい山菜を見つけた
これは旨いよ
標準和名はモミジガサ
山菜的にはシドケと呼ばれ独特の香りがある
こいつもグイと曲げてポキリと折れたところから美味しく喰える法則に従う
ポキリ
シドケはなぜか崩落地帯に多い
おっかねぇ
...
今日はずいぶんと山の中を歩いた
もうクタクタに疲れているはずなのだが
薄黄緑色の明るい木漏れ日の中
道の無い雑木林をどこまでも歩いていると
次第に南も北も
右も左もわからなくなって
ココロが自然に還っていくのだろうか
俺は自分がヒトなのか獣なのか
果たして生きているのかもわからなくなっていく
いま山はそんな季節
...
山から出て里に下りる
0.29マイクロシーベルトってどうなのよ
ハシリドコロはもういいや
夕マズメを釣って帰ろう
...
比較的キレイだが
まだ成魚放流魚が多い
小場所を狙い、いつも通り旨そうなヒレピンのみキープする
暗いポイントの魚は暗い色
そういえば豚さんがイワナの燻製を絶賛してたな
イワナの燻製は確かに旨い
焼いて喰うと淡白なイワナが結構ギトギトになる
ちょっとメンドクサイがたまには燻製作るか
ならば一等ポイントを撃とう
良型がついてるからね
この型だとハエ竿が満月になって面白い
釣りとしてはとても楽しいのだ
ヤマメもいい型だ
あまりキレイじゃないのも混じる
そろそろ上がるか
...
イワナはキレイなヤツを5匹キープした
あとで燻製にします
小振りなヤマメは塩焼きにした
旬はずれのコゴミはちょっと苦い
山の幸には山の酒
ハシリドコロは見つからなかったな
ヤマメのアタマを齧り純米酒をぐびりと呑むと
俺はココロの中の不満げな少年に言ってやった
アレは老後のお楽しみだ
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読んでくれてありがとう
自分も参考にしよう~
カメノテとかフジツボとツワブキ等を探しに磯へ行って来るって。。。
ナチュラルトリップを求めての山中徘徊お疲れ様でござんす。またもやうまそうな魚を釣ってきやしたねぇ。あっしは今週末は釣りに逝けそうですんで、ツマミを確保してこようと思いやす。老後の楽しみ‥‥
ようござんすねえ(笑)
いつもコメントいただきまして、ありがとうございます。
そうなんです、対象に対する殺気を消す効果とでもいいましょうか。
磯でも置き竿にした時に限って本命魚か釣れてしまうという、そんな感じです(笑。
確かに・・・例の、野坂昭如の歌・・です。
写真の酒、大好きな銘柄でして懐かしい。
超辛口で、山菜や渓流魚にはピッタリですねぇ。
羨ましい限り・・・です。
いつもコメントいただきまして、ありがとうございます。
こりゃどううも喰われてますね。
今頃の季節、電車のつり革にチカラなくぶら下がる呆けた表情のサラリーマンが多くなりますね。
あいつら秘かに喰って楽しんでるんじゃないかと、ワタクシは怪しんでいます(笑。
いつもコメントいただきまして、ありがとうございます。
いま山に入ると、木々の若葉と吸い合う空気はあくまで甘く、流れにはサビのとれたヤマメがきらりきらりと光っています。
このままマリリンの幻影を追って森に溶けて逝ってしまうのも、また一興かと思ってしまうほど好きな季節です(笑。
コメントいただき、ありがとうございます。
文化人のくくりなのにラグビーやったり、けっこう肉体派ですよね。
でもキックボクシングやってたのにヒト殴っちゃいけません(笑。
「火垂るの墓」にあふれるやりきれない悲しみと、ご本人のハチャメチャぶりが、どうも結びつきません。
がんばってください(笑)
シドケは美味しいですね。
おひたしにしたときのほろ苦さがたまりません。
コメントいただきまして、ありがとうございます。
おお、そうですか。
やはりあのあたりに(笑。
ただ里山の方がかえって荒れてしまっている今日この頃。
ハシリドコロは大切に保全して、シドケのおひたしで一杯やってるのがイイのかもしれません。
コメントいただきまして、ありがとうございます。
そうなんです、水分だけ蒸発して油分が残るのでしょうか。
しかし焼き枯らしにしても、そうはなりません。
ちょっと不思議な現象ですね(笑。
目当てのものは残念でしたが、渓魚は美味そうですね♪
毒草と知りつつ探し回るというのが、やっぱり違いますね。
私なんかセリを摘む時でさえ毒セリと間違えないかドキドキものですから、とても出来る諸行ではありません(汗
それにしても、食べられる野草って結構あるんですね。
コメントいただきまして、ありがとうございます。
キノコは別として、植物はたいてい喰えます。
毒ゼリもめったに死なないそうですから、ご安心ください(笑。
喰ったら絶対ヤバイのがごくわずかですがありますので、今度記事にしてみようと思います。