漁港でカゴカく~そして冬の釣りへ
   
   
>>前回からの続き


さすがにこれは気恥ずかしい

彼岸もとうに明けて花の便りもちらほらと

聞かれる今になって「そして冬の釣りへ」はないだろう

日頃旬は大切だなどと分かったふうなことを言ってるクセに

季節外れも甚だしいとお怒りの向きもおいでかもしれない

あるいはこの期に及んで冬の釣りの話を持ち出すのだから

何やら深慮遠謀があってのことではないかと

深読みされる向きもおいでかもしれない

だがそんなことは全く無くて

ひとえに俺が怠惰でダラシナイからで

早く書こうと思いながらもメンドクサがってグズグズするうちに

季節は廻り春になってしまっただけなのだ

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自然農園(狭い庭)の雑草

恥じ入ってフォントも赤くなりそうなタイミングだが

そこはこの変痴気ブログをお読みくださる皆さんの

温情に甘えてお話を続けさせていただきたい

名残のカゴカキダイ釣りのお話をさせていただいて

このシリーズの締めとしたいと思うのだ








...








さて前回大型漁港でスレッカラシのカゴカキダイを相手に

イケそうでイケないカウパーな釣りを余儀なくされた俺だが

再びその漁港でカゴカくことを決意した

別に喰うために釣る小魚に過ぎないのだから

違う小磯や漁港でおぼこいカゴカキダイを

釣ればイイようなものだがそうは問屋が卸さない

釣れないとどうしても釣りたくなってしまうのは

釣師の本能のようなものだろう

ハードルが高いといよいよ燃え上ってしまうのは

オトコの本能のようなものだろう

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できるかな

このオトコ達のチャレンジ精神が生み出す付加価値によって

お魚釣りと水商売の世界は成り立っているのだと

言ってしまっても過言ではないかもしれない








...









スレたカゴカキダイに口を使わせるにはどうしたらいいか

誘いは効くようだが今一つよく分からない

イロイロ試してはみたのだが

ショゴに対する上下のアクションのように

特効薬的な動きは見いだせなかった

ならば仕掛けを落としてみよう

俺は渓流釣りの道具箱からこんな糸を引っ張り出した

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まだ使えるかな

メタルラインを除けば俺が釣りに使う糸としては一番細い

ちなみに俺は流行のゼロ釣法はやらない

この釣法の提唱者の伊藤稔についてはデビュー作の

「究極のヤマメ釣り」の頃からのファンではあるが

これからもゼロ釣法を試すことはないだろう

それについてはまたヤマメ釣りの頃にでもお話することにして

今度は小物釣りの道具箱からこんな針を出してみた

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クチボソや手長エビを釣るために買った針だ

0.2号の糸に秋田キツネの2.5号という細仕掛けに合わせて

竿はいつ買ったのかも覚えていないくらい古い

ペナペナのグラスロッドの穂先と穂持を抜き出して

握りにガムテープを巻いてみた

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エサにも念を入れたい

嫁がいないのを見計らって冷凍庫を探る

奥から凍っていてもクサイ小汚いビニール袋が出て来た

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中にはオキアミよりずっと小さい付けエサ用のアミと

使いかけのアミコマセまで入っていたから臭いワケだ

付けエサ用のアミはコマセのアミと同じものだろうから

コマセと同調させて海中に漂わせれば

スレッカラシのカゴカキダイもきっと喰ってくれるだろう


準備は万端整った







...










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夜釣りはしない俺だから

明け方に片道3時間走って大型漁港に着く

岸壁沿いに車を停めてドアを開けると


さっ寒い


風速10m位の北風が吹いている

もう季節は冬なのだ

よく晴れてはいるがあまりに寒いからだろう

普段は平日でも釣り人の絶えない漁港なのだが

こんな日に釣りをしようという酔狂な人間は

見渡したところどうやら俺だけのようだ

岸壁から海中をのぞき込んでみたが

小魚一匹見えなかった








...









スプーン一杯のコマセアミを海中に落とし込む

緩やかな潮の流れに乗ってアミが拡散していく

5分くらいの間をおいてまた落とし込む

綺麗に澄んだ潮でアミの動きがよく見える

根気よくコマセ続けていると魚っ気がでてきた

底の方から魚達が湧き上がってくる

トウゴロウや小メバルやネンブツダイ

時おり青く通過していくのはタカベだろうか

数は少ないがカゴカキダイの姿も見えた








...









コマセが効いてきた頃合いを見計らって

小さなサシアミを小針に付けて仕掛けを入れる

散り広がるコマセの中にアミを付けた針を漂わせる

さざ波に揺られる玉ウキがゆるゆる沈んだ

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ちびメバルだ

今度はぴゅんと玉ウキが沈んだ

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タカベだった

ポツリポツリと魚は釣れるので

退屈はしないが何しろ寒い

吹きすさぶ寒風を背に受けて短竿を握り

細仕掛けに玉ウキを付けてエンコ釣るなんて

こりゃまんまタナゴ釣りだな

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画像拝借









...









最近リバイバルの様子も見せるタナゴ釣りは

あまり季節にこだわらず産卵期を迎える春先に

釣ってその婚姻色を愛でたりする向きもあるようだが

昔は真冬に限られた釣りだった

ガキの頃長兄が俺にくれたバイブルを見てみよう

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紀元前42年刊


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釣ったらたいてい喰っていた

俺の育った家の近くには用水路が流れていて

利根川から引いていた水だから水質は良く

小鮒やオイカワをしばしば釣って楽しんだものだ

あれは10歳になるかならぬかの頃の冬

用水路の曲がりの深みで俺はタナゴを釣っていた

農閑期なので水は落とされていたが

今と違ってコンクリで護岸されていなかったから

カーブではえぐれて深みが形成されていたのだ

近くで初老の本格的なタナゴ師も釣っていた

俺は卵の黄身とメリケン粉を合わせた黄身ネリで

ポツリポツリとタナゴを釣った

玉虫を使うタナゴ師はほとんど釣れていなかった

よく釣れるね

タナゴ師が声をかけてきた

黄身ネリの方が喰うみたいですね

良かったらどうぞ使ってください

俺は大人びた口調でそう言い

黄身ネリを絡みつけた割り箸を彼に差し出した

ありがとうとタナゴ師は礼を言い、そして俺に訊いた

キミ釣り上手だね、いつごろからやってるの

10歳になるかならぬかの俺は答えた

ずっと昔からですよ

子供の使うずっと昔という表現に初老のタナゴ師は

ちょっと驚いたふうで彼のその戸惑いは

幼くて愚かだった俺にも確かに伝わった








...









そんな昭和の時代のタナゴ釣りを思い出して

寒さに足踏みしながら岸壁上で釣りをしてると

電光のように記憶がよみがえったのだ

おお、今カゴカキダイを釣るこのグラスロッドは


あの時タナゴを釣った竿ではないか

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なんと物持ちのよい

時間の感覚というものはその人が生きてきた

年月の長さに反比例するという説があるが

俺はほとんどそれは正しいと思っている

子供の頃の一年はとても長かったと

皆さんも思い当ることはないだろうか

いわば人生の冬に差し掛かった俺の10分間を

1時間の生として楽しめた頃の俺の時間軸が

重なったような不思議な感覚を覚えた








...








その日は結局4匹のカゴカキダイを釣った

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片道3時間かけて帰ろう

さて晩酌の肴だがさすがに皆さんカゴカキダイは

ちょっと続きすぎて食傷気味でしょうから

針を呑まれて持ち帰った外道のタカベを

今夜は料って喰ってみましょう

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小さいけどね

タカベは俺にとってちょっと分からない魚で

高級魚とされているようだがあまり旨いと思ったことはない

最初に釣ったのは九州でサラリーマンをしていた若い頃で

遠征した五島でグレ釣りのエサ取りとしてしこたま釣れた

連れて行ってくれた磯釣り会のベテランたちも

結構高級魚らしいねと言いながら持ち帰らない

俺は試しに持ち帰って塩焼いて喰ったのだが

パサパサしてまるで旨くなかった

そう言えば何年か前、まだ鵜原漁港でコマセが使えた頃

釣侍の大将に連れて行ってもらって釣ったこともあったな

やはり塩焼いて喰ったがあれは悪くはなかった

だが高級魚だと言われてしまうとちょっと首をかしげてしまう

ハタイた後のイサキのようなクセのないムロアジのような

何だかとらえどころのない身肉の味わいで

ひょっとすると旬と旬ハズレの差が大きい魚なのかもしれない

そんな魚は刺身で喰うのが無難だろう

三枚に卸して皮を引く

皮は硬くて引きやすい

小さいからシンコのように半身で一切れだ

醤油は使わず薄く塩味をつけてみた

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イイ感じだ

もう色付いてしまった名残のスダチをたっぷり絞って

さあ召し上がれ

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これは旨いよ












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最後まで読んでくれてありがとう







  

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# by US100243 | 2017-03-31 16:55 | 海の釣り | Comments(10)
  

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