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南房夜磯~女々しくて
   
   
嫁が怒り狂っている


嫁が怒るのは犬がワンと吠えたり

熊がマーキングしたりするのと同じく

ごく普通の自然現象で別段どうということもないが

台所から俺に向けて発せられる罵詈の中の

オキアミという単語がちょっと気になった

どうしたと恐る恐る台所をのぞくと

冷凍庫の中の釣りエサを何とかしろと嫁は言う


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3kgブロックやら生イキくんやら

ああ去年買ったまま忘れてた

そうしてみるともう半年近くフカセてないのだ

嫁は俺の顔を見るといよいよ怒り

この場所ふさぎの釣りエサをなんとかしなければ

アンタにいっさい角氷は使わせないと喚いた

嫁が喚くのには慣れっこだが

これからの暑い季節に角氷を使えないのは難儀だろう

何とかするよと俺は冷凍庫からオキアミブロックを

ひっぱり出すと家を出た

他にいろいろやるべきこともあるが仕方ない

嫁の恫喝にたやすく屈してしまった俺は

オキアミの捨て場所を求めて館山道を南下したのだ








...








オキアミの処分場所については目星は付けてある

俺は釣りブログチェックに関しては結構勤勉なのだ

T氏はSアジが爆釣だったそうだ

S氏とI氏はもう初物のIサキを仕留めている

これはもう南房だろう

流れからいって初物のF鯛なんか釣れちゃうだろう

何の根拠も釣技の裏付けもないのに

こんなノーテンキな妄想をしてしまうのが

俺の俺たるゆえんなのだが

イイじゃないの幸せならば

釣りの準備はしてあるのかって?



半年前から積みっぱなしだ


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常時大変な状態だ

磯フカセやルアー釣りの道具のみならず

渓流釣りからカニ獲り網まで



探せば何だってあるぞw







...








南房磯にオキアミを不法投棄すべく館山道を降りた俺は

黄色いエサ屋に車を滑り込ませた

オキアミだけでは愛想がないのでアミも混ぜたい

解凍しておいてもらったアミからドリップが出てるので

グレベストという粉末を振り入れ扱いやすくした

これを磯から海中に捨てる

いっぺんに捨ててしまっては消化不良を起こすだろう

環境に配慮して一晩かけて少しずつ捨てるつもりだ








...








半年ぶりの磯フカセだ

気合をいれてジャブるぞ

磯釣りではなんだかジャブればジャブるほど釣れる気がする

竿抜けを釣るからだろうか

反面ブーツだけで逝けるポイントはあまり釣れない気がする

場荒れしてるからだろうか

あれやこれやをランドリー背負子に放り込み

捨てるオキアミ混合物を入れたバッカンを手にさげ

通い慣れつつある南房磯辺の小道を歩いていると



うひゃぁ


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ヤマカガシだ

足がすくんで動けない

このあいだ長物恐怖症は克服したハズなのに

熱くなったアスファルトが心地よいのか

しばらく見ていたが移動する様子もない

またぐ気にもなれないのでポイントを変えることにした

蛇に怯えた俺はすごすごと来た道を引き返したのだ








...








車のところに戻ってウェーダーを脱ぐと

もう汗でグショグショだ

何だかモチベーションが下がってしまった俺は

再びウェーダーを履く気になれなかった

ジャブらないですむ磯へと移動した

ジーンズにフェルトスパイクの鮎タビ

磯ヌカカの襲来にだけは入念に備えた


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俺は磯ヌカカに弱い







...








昨年雑誌に紹介されてメジャーになった磯に乗る

皆さんマナーが良くなったのか釣れてないのか

岩上はとてもキレイで気持ちがいい

さてオキアミを捨てつつ釣りでもするかと

去年買った中通し竿を伸ばそうとしたが

何だかうまく伸びていかない

実は俺はダラシないだけでなくメンドクサがりやで

釣行の度に中通し竿に糸を通すのがメンドーなので

前回使った時のままリールも糸も付けっぱなしで

竿だけ縮めて車中に放置しておいたのだ

俺には中通し竿の内部構造はよく解らないが

半年間車中で揺られているうちに

竿の中で糸が絡んでしまったのだろう

のっぴきならない事態になってしまったことは解った


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もう大変なことに

絡んだ糸を引っ張ったり緩めたり

内部のブランクを回してみたり

いろいろやってもどうにもならない

あたりはだんだん暗くなる

車に戻って予備竿とってこようと

諦めて立ちあがったときにヒラメいた

尻栓を抜いてみよう

尻栓を回しとると絡んだ糸が見える

引っ張り出して丁寧にさばくと

メデタク竿は正常に復したのだ

さて尻栓をつけなおそうとすると



あ~っ

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お約束

尻栓は磯から転げて海中へと消えていった

手入れはとてもラクになったが

持ち運びはとても不便になった


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こんな感じになりました







...








暑くもなければ寒くもない

月に煌々と照らされてとても気分がいい

だが潮がスケスケで月明かりで海底まで見える

まるで釣れる気がしないがアタリがきた



くっ


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今年の海魚第1号

明け方までにもう一匹クサフグを追加して

オキアミ投棄のミッションは完了した







...








坊主にゃ慣れっこだがこれじゃ喰うもんがない

磯際でムラソイを確保する


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困った時のムラソイ頼み

台船の下についてたメバルもいただく

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煮付けて喰おう

岸壁で威張ってたイシガニをジグヘッドで引っ掛ける

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我ながら上手くいった

海おとこさんがせっかく釣ったシロギスを食いちぎった悪いお魚を退治しようとサーフも攻めたが

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不発だった

通勤割引を使ってそろそろ帰ろう

やれやれ







...








カニを茹で魚を煮付ける

カニはやっぱり秋だな


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粗餐ですが

純米酒をぐびりと飲りながら俺は反省する

蛇にビビったのが敗因だったな

こんなテイタラクでナマダ征伐ができるのか

まあいいか

ナマダいま旬はずれだし



冬までに何とかしますわ


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by US100243 | 2013-05-24 16:54 | 海の釣り | Comments(8)
疾しるおぢさん~俺の中の不良少年
   
  
 
野坂昭如をご存じか

死んだと聞いた記憶はないのでまだ生きてるのだろう

本を書いたり唄を歌ったり酔っぱらって毒づいたり

イロイロ多才な爺さんなんだが本業は小説家か

野坂昭如の名前を知らないお若い方も

「火垂るの墓」の作者だと言えばわかるんじゃないか

日本共産党の親玉かって



節子そりゃ野坂参三や







...







俺がまだガキだった頃野坂昭如は不良中年で

「週刊プレイボーイ」に連載記事を書いていた


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チェリーだったあの頃

テーマは一貫して自家製ドラッグだったような

今からすればえらく反社会的な内容だが

その頃はそれも許される時代だったのだ

ポール・マッカートニーや井上陽水

多くのアーティストが大麻で御用になっていて

思春期の俺はそれに憬れた

「週プレ」のグラビアを鑑賞した後は必ず

野坂昭如の連載記事を読んでは

バナナの皮の裏を削って干して吸引したり

龍角散を振りかけた煙草をふかしてみたり

そんなことくらいでラりってる気分になってしまう

俺にもそういう微笑ましい少年時代があったのだ


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カラダだけは汚れてなかった







...








さて先日仕事をサボって調べ物をしていると

ずいぶん昔の不思議な事件の記事に目がとまった

ある初夏の朝山梨県の山間の小さな町で

疲労困憊で足元もおぼつかない中年の男二人が保護されたという

幻覚に襲われて一晩山中を彷徨っていたらしい

調べの結果二人は毒草を誤食したことが分かった

その毒草の名はハシリドコロ


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なかなか旨そうだ

喰えば錯乱して走り回ることからその名が付いたようだ

その記事に俺のココロの中の少年が激しく反応した



素敵じゃないか


大自然の中ハシリドコロをキメてトリップする


クールじゃないか


六本木辺りで不良外人からイケナイお薬を入手して

汚れた空気の中で吸ったりするよりずっとカッコイイ


時空を超えてその二人の男に訊いてみたい


アンタら知ってて喰っただろう


これはぜひとも採って喰ってみたい

新緑薫る五月の高原でそよ風に吹かれ

ハシリドコロのおひたしをしこたまキメて

幻覚を追いつ追われつ疾走してみたい

ビタミンCも入っていてカラダにも良さそうだ

不良少年のココロ赴くままに俺は

エンジンに火を入れ車を乗り出した

ハシリドコロを探しに北へと走ったのだ



通報すんなよw







...








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ご多分にもれずここ栃木の山奥にも

意味の無い林道がずいぶん作られている

公共事業が主産業である日本の田舎町

林道、農道、砂防ダム、漁港整備

その功罪は理解してるつもりだが

俺にはちょっと目に余る

目には余るが無かった昔には戻れない

山菜採りにでも使わせてもらおう


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あちゃー

山肌は何もしなくても崩れていくものだが

たいていは林道の存在が原因で崩落する

それを修復してはまた崩れる

現代版賽の河原だ

やれやれ







...







ずいぶんと上流まで登ってみた

この辺の山は東京電力の管理地が多いが

いつもの駐車スペースが


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海だけじゃないのだ

東電よ、どうしちまったんだ

叩かれすぎてココロの余裕を失ったのか


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こんなんばっか

車を降りるとニホンザルがいた

ニホンザルには萌えない

むしろ群れていると怖いが今日は二匹なので大丈夫

それでも生意気にも俺をちょっと威嚇してから

ゆっくりと山に帰っていった


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...








サルを追うように山へ入っていく

おやっ、毒旨そうな山草があるぞ


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ツヤツヤの葉っぱ

これはウバユリだな

夏に百合らしからぬみっともない花を咲かせるが

百合だけあって根茎は百合根として喰える

おおっ、あの新芽こそはどうだ


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これも毒旨そうだ

残念ながらこれはオオバギボウシだ

俺の好きな山菜でウルイと言ったほうが通りがいいか

小さい斑入りの園芸種が庭に植わっていたりする

ハシリドコロを探して谷に降り立つと


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もう山岳渓流だ

水面に落ちたカゲロウが羽を震わせている

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見えるかな

水温を計ると

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9度


ちょっと毛鉤を浮かべてみるか







...








さすがにGW直後の真昼間はシブい

小場所を丹念に撃つ


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魚はいないわけじゃない

暗い小さなポイントでは

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イワナは渓のドジョウだね

明るく開けたポイントでは

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さんざん叩かれてるだろう

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ヤル気のヤマメ君

谷間の釣りも楽しいが

ハシリドコロは見つからない

大きく下流に下ってみよう







...







河畔林を歩いてみる

前回採ったコゴミはすっかり葉を広げていた


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こうなるともう喰えない

山菜採りには時期遅れのこれからが結構大切で

成長した葉っぱや花を見つけて

ああウドがこんな所に生えているぞとか

いい匂いでヤマユリが咲いてるとか覚えておいて

翌シーズンの旬にそこを探せばいい

そうして自分のポイントを増やしていくのだ

何百株もの葉を広げたコゴミの中には

こんなトボケた個体もあったりする


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他のみんなはオトナなのに

名残りのコゴミをいただくことにしよう







...








ハシリドコロは見つからない

採ろうとするとなかなか無いもんだ

それでも嬉しい山菜を見つけた


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これは旨いよ

標準和名はモミジガサ

山菜的にはシドケと呼ばれ独特の香りがある

こいつもグイと曲げてポキリと折れたところから美味しく喰える法則に従う


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ポキリ

シドケはなぜか崩落地帯に多い

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おっかねぇ






...







今日はずいぶんと山の中を歩いた

もうクタクタに疲れているはずなのだが

薄黄緑色の明るい木漏れ日の中

道の無い雑木林をどこまでも歩いていると


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次第に南も北も

右も左もわからなくなって

ココロが自然に還っていくのだろうか

俺は自分がヒトなのか獣なのか

果たして生きているのかもわからなくなっていく

いま山はそんな季節








...








山から出て里に下りる


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0.29マイクロシーベルトってどうなのよ

ハシリドコロはもういいや

夕マズメを釣って帰ろう







...







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比較的キレイだが

まだ成魚放流魚が多い

小場所を狙い、いつも通り旨そうなヒレピンのみキープする


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暗いポイントの魚は暗い色

そういえば豚さんがイワナの燻製を絶賛してたな

イワナの燻製は確かに旨い

焼いて喰うと淡白なイワナが結構ギトギトになる

ちょっとメンドクサイがたまには燻製作るか

ならば一等ポイントを撃とう


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良型がついてるからね

この型だとハエ竿が満月になって面白い

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釣りとしてはとても楽しいのだ

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ヤマメもいい型だ

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あまりキレイじゃないのも混じる

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そろそろ上がるか







...








イワナはキレイなヤツを5匹キープした


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あとで燻製にします

小振りなヤマメは塩焼きにした

旬はずれのコゴミはちょっと苦い


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山の幸には山の酒

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ハシリドコロは見つからなかったな

ヤマメのアタマを齧り純米酒をぐびりと呑むと

俺はココロの中の不満げな少年に言ってやった



アレは老後のお楽しみだ




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by US100243 | 2013-05-15 16:40 | 川の釣り | Comments(16)
吼えるおぢさん~とかくに人の世は住みにくい
   
   
さて前回釣行時の夕マズメの出来事だ

那珂川本流のある橋のたもと

駐車スペースで俺は季節外れの雷雨をやり過ごしていた

俺の車のほかには習志野ナンバーのワゴン車

1時間前に来た時にはすでに止まっていたから

釣り下ったか釣り上ったか

いずれにしてもずいぶん離れているだろう

増水気味の夕マヅメ

同じ釣り方でなければ先行者がいても問題ない

小降りになってきた雨の中

俺は身支度をして川に降りたのだ







...








見渡しても釣り人は俺一人だ

休日ならば何十人も入るであろうエリアだが

平日アングラーはホントに恵まれている

さすがに入渓地点付近ではアタリは遠かったが

しばらく釣り上ると反応が出だした

増水時のドライフライはポイントの見極めが難しいが

反面ポイントへのアプローチは気楽だ

俺は5.4mのハエ竿にそれより短い仕掛けをつけ

釣友Mの巻いてくれた毛鉤でヤマメを釣っていった







...







毛鉤の釣りはテンポが速い

上流に先行者が見えてきた

駐車スペースにあった習志野ナンバーの釣り人であろう

ここでは彼を習志野おぢさんと呼ぶことにする

習志野おぢさんは俺より少し年上のように見え

長い竿でエサ釣りをしていた

俺は釣り上るスピードを緩めた

増水して広がった流れにポイントは無数にある

俺は深く立ち込みひとつひとつポイントを叩き

腰の友バッグにヤマメを釣り溜めていった








...








俺は釣りながらも視野の片隅に習志野おぢさんを見ていた

俺は長年通い詰めた那珂川にホーム意識のようなものを持っていて

せっかく千葉県から訪れたのであろうおぢさん

魚が釣れているか気になったのだ

釣れてないようならポイントを教えたり

お節介を焼こうと考えていた

習志野おぢさんの竿が曲がる

遠目にも良型の成魚放流のイワナだとわかった

立て続けにまた釣れる

そこは単純な石組みの平凡なポイントなのだが

不思議と魚が溜まる小渕なのだ

俺は下流から大声で叫びかけ

挨拶をかねて釣れてよかったね風なジェスチャーをした

増水した川の瀬音で会話は出来ない

おぢさんはこちらに顔を向けると

何やら険悪な表情で大声を出し

周囲をぐるりと指さすしぐさをする

このポイントは俺が釣るから近づくなと言ってるように見えた

俺はあんたが上ってからそちらに行くからというようなしぐさを習志野おぢさんに返し

20mほどに広がる下流の瀬の中で

いよいよ深く立ち込み釣りを続けたのだ







...







習志野おぢさんはそのポイントに腰を据えてしまった

曇り空の夕マヅメでもうかなり暗い

そこを最後のポイントと決めたのだろう

俺のマナー感覚では先行者を追い抜くのはご法度だが

これでは身動きが取れない

俺はおぢさんにふたたび大声で叫びかけ

流れを大きく迂回して上を釣ってもいいかと

身振り手振りできいてみた

おぢさんは変わらず険しい顔つきながらも

大きくうなずき許可してくれたように見えた

俺はおぢさんがまだ上に釣り上がる可能性も考え

彼の釣る緩流の筋から大きく離れた流芯を釣り上った

流れが強く大変だったが

利根本流の激流に比べればなんてことはない


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この人の釣りをまねた時期もあった







...







習志野おぢさんはポツリポツリとイワナを釣っている

俺の釣る急瀬は水面の毛鉤釣りには不向きだが

流石に夕マズメのゴールデンタイムだけあって

天然ヤマメが良く反応して楽しめた

しばらくしておぢさんは帰っていったが

俺は毛鉤が見えなくなるまで釣り続けたのだ








...







川から上がり駐車スペースに戻ると

俺の車の隣に白いワゴン車が見えた

習志野おぢさんはまだ帰ってなかったのだ

俺は暗がりの中

いいのが釣れてたようでよかったですねー

とノーテンキに声をかけた



おぢさんは立ち小便をしていた







...







習志野おぢさんは用足しを終えると

だいたいアンタは非常識なんだよー

いきなり大声で怒鳴りたてた

小便中に声をかけたのは確かに間が悪かったが

怒鳴って怒るほどのことか?

俺がキョトンと黙っていると

おぢさんは怒鳴り続けた

人が釣ってる竿先バシャバシャ歩きやがって

そして俺に文句を言いたくて帰らずにいたのだと言うのだ






...





一体コイツは何を言ってるんだ

ひと様の釣ってる竿先を歩くなんて

喧嘩を売ってるのでなければありえないだろう

うっかりニアミスがなかったか思い返してみても

叫びかけた最接近時でも10mは離れていたろう

俺がそんなことはしていないと抗弁すると

いいやアンタはしたとおぢさんは怒鳴る

いいですか

俺は静かに言った

俺は釣り上がるスピードの違うアナタに追いついた後も

ずっと追い抜かずに下流を釣り続けたでしょう

そんなタイプの人間が他人の釣りの邪魔をするなんて

話としてもおかしいでしょう


習志野おぢさんは答えた

いいやアンタは非常識に荒らした

水かけ論でラチが明かない







...







かみ合わないやり取りに行き詰まりを感じたのか

おぢさんは違うことを言いだした

アンタちゃんと鑑札持ってるのか

そしてこんなことも言った


声をかけてくれれば先にいかせてあげたのに


おぢさんは道徳とマナーの人だったのだ


自分勝手に吼えてるわけじゃないのだ

いっぽう俺はどちらかと言えば不道徳な人間だが

マナーにはかなり気を使ってるつもりだ

マナーの人とマナーの人が接近しても

こんな摩擦が起きてしまう

おぢさんはこうも言った

自分は後続の人が釣れるようになるべく立ち込まないようにしてる

俺は全体像を理解した








...






これはスタイルの違いなのだ

俺も渇水期におぢさんのように長竿で遠くから

ふんわりと釣ることもある

そしてウェットスーツを着けて6mくらいの短竿を握り

利根川本流の荒瀬を攻めるのも好きだったりする


両方の釣りをするからおぢさんの気持ちもわかる

今まで自分が流していたポイントに立ち込まれるなんて

それだけで竿先でバシャバシャやられた気分になるのだろう

だが決して俺の立ち込みはおぢさんの釣りに悪影響を与えてはいない

だからおぢさんは釣れていたし

何より俺自身が短い竿でよく釣ってるのだから

もちろん水音や石音はよく伝わるから

渇水時や明るい時間帯は気をつけなければいけない

だがその日の俺の釣りに問題はなかったと思う








...







どちらも悪いとはいえない

こんな時はどうするか



当然先行者優先だろう


俺は俺の立ち位置がおぢさんに不快感を与えてしまったようで

大変申し訳なかったと丁寧に詫びた

そして釣りのスタイルの違いはいかんともしがたいが

今後おぢさんと川で逝きあうようなことがあれば

釣り下るなり釣り場を変えるなりすると繰り返して詫びた


習志野おぢさんは自分も大声を出したりして悪かったと言い

それから少し情報交換のようなおしゃべりをした

二人の間にわずかながら和気のようなものが生じ

この件は一件落着となったのだった

だがこれはおぢさんが俺の謝罪を受け入れたというだけで

俺に対するバシャバシャ立ち込む非常識なヤツという見方は変えようもないだろう

お気をつけてと見送る俺の挨拶に返事は返ってこなかった







...







そんなことがあったからコゴミもヤマメも旨かったが

その晩の酒はちょっと苦かったのだ

渓流釣りの話だけではない

エサ師とルアー師

サビキ師とフカセ師

フカセ師とカゴ師

いつでもどこでも摩擦は起こりうる

平日の釣りでもこのテイタラクだ

もし週末アングラーだったなら

俺はこんなに釣りにのめり込むことはなかったかもしれない







...







さて喰い終わったヤマメのアタマと骨だが

まさか捨ててる人はいないだろうな

ヤマメはアタマと骨がいっとう旨い

甘くて柔らかいから身ごと喰ってしまってもいいが

俺はオーブントースターで大切にあぶって喰う


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焦がさないように注意して

香ばしさも加わり絶好の肴だ

これを熱燗に浸せばイワナの骨酒に負けない旨い骨酒になるに違いないが

俺はそうしない

骨酒はイワナの領分だと思うからだ





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by US100243 | 2013-05-02 13:52 | 川の釣り | Comments(12)
  

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