俺はサイタマの平凡な家庭に生まれたから
大したものを喰って育ったワケじゃない
特に魚介類について関東の内陸部では
旨いものを追求する食文化はなく
普段喰いの魚といえばしょっぱい塩ジャケと
アジやカレイの醤油を効かせた煮付けくらいで
たまに喰うマグロの刺身は大御馳走の部類だった
もちろんフグなんぞは目にすることもなく
それでもガキの頃から俺は
人一倍喰い意地だけは張っていたから
喰い物に関する文献を読み漁っては
オトナ達の絶賛するトラフグという魚を
喰ってみたいものだと憧れていたのだ
...
長じてサラリーマンになった俺は
担当した九州は大分に住むことになった
大分の地で俺はそれまでのフグに対する
妄想と欲望を炸裂させた
フグといえば下関が有名だが
下関は単に集積地であるだけで
日本一旨いのは大分だろう
まあこれはお国自慢の類だが
豊後水道あたりで獲れる魚は何でも旨い
フグも旨くてそのうえ安いから
公に私に俺はフグをずいぶんと喰った
他県ではご法度の猛毒の肝を
毒抜きして当たり前のように喰わせるのも
面白い食文化だった
バブルを迎える頃で時代も良かったのだろう
晩秋から春先まで毎週のように喰った
俺は大分に住んだ5年間で
一生分のフグを喰った気がする
...
サイタマに戻って俺は料理屋で
トラフグを注文することはトンと無くなった
好物だから接待がらみでたまには喰うが
高くて普段喰いの魚とは言えないだろう
養殖物で味も大したことはない
だから俺は釣って喰う
フカセていると外道でよく釣れる
アカメやショウサイも素敵に旨いが
猛毒ゆえこのブログで触れる気はない
毒に関してはちょっと微妙だが
漁港の雑魚釣りの獲物の中で
俺がその味わいや泳ぎふるまいを
こよなく愛しているハコフグの
お話を今日はしてみたいと思うのだ
...
漁港でぱらぱらとコマセを撒いて
足元に群れる小魚を釣っていると
しばしばハコフグが現れるだろう
つぶらな瞳といいピロピロピロと
尾ビレ胸ビレを懸命に動かして
泳ぐ姿といい愛らしいことこの上ないが
その泳法ゆえかなりノロマで
なかなかエサを喰うことができない
近くのエサにピロピロと泳ぎ向かっても
先に他の魚に喰われてしまう
エコ贔屓して目の前にエサを落としてやっても
タカベなんぞにサッと横取りされてしまう
そんなことを何度も繰り返してやっと
エサを喰わせてやることができたのだ
...
釣り上げたハコフグは20cmくらいの良型で
体内の半分以上は旨い肝が詰まっているから
一匹あれば肴には充分だろう
さっそく帰って料ってみようと思うが
しばらく活かしておくなら他の魚とは
別のバケツに入れて置いた方がいい
体表の毒で他の魚が死んでしまうからだ
...
以前は肝を取り出して味噌やネギなどを刻み込み
再び体内に戻して焼いて喰ったものだが
最近はメンドクサイのでただ丸焼きにして
ポン酢で喰うがそれでも申し分なく旨い
そのまま焚火に放り込んで焼くのが浜の漁師の
流儀というがワタの内容がちょっと気になる
だから俺は料理バサミで硬い腹を開けて
消化管だけは抜き取るならわしだ
アルミホイルで包んで網に乗せて焼く
腹を上に向けて焼いても
滴り出てくる大量の脂で
炎が盛大に燃え上がるが
ひるまず焼き上げる
料ると言ってもこれだけだ
多少焼きすぎてしまっても
硬いハコと肝に含まれる脂で
中身はふっくらと焼けるからシンパイない
...
お話したようにこれをポン酢で喰うのだが
もしお手元に青い柑橘類でもあるならば
開いた腹に絞り込んでやればなおイイだろう
さて注目の肝を喰ってみよう
ハコフグの肝は他の魚の肝同様旨いが
さらりとした脂を大量に含んでいて
その食感はトロリと軟らかい
味噌と薬味でかさ増しするのもイイが
ポン酢でさっぱりと喰うのもイイ
腹の中身はほとんど肝だが
背骨周りやヒレの付け根には筋肉もあって
フグだけあって白身で旨い
肝をまぶしつけて喰ったりすれば
酒がススんで仕方ないだろう
...
こうして料理屋で高い勘定を払うことなく
しばしばフグを楽しんでいる俺だが
残念ながら皆さんにお勧めすることはできない
テトロドトキシンより凶悪といわれる
パリトキシンという蓄積毒を
含んだハコフグに中った事例が出たそうだ
そのため今では他のフグ同様ハコフグにも
フグ調理師免許が人に供するためには必要で
肝はご禁制になってしまった
パリトキシンの供給源は
イワスナイソギンチャクらしく
これは熱帯に棲むイソギンチャクだから
イシガキダイを喰ってシガテラ毒に中る
確率とほぼ同じだろうと俺はイメージして
もしアタッタならそれも運命だと
構わず俺はハコフグを愛好している
だが半ば人生を諦観してる俺と違い
まだ人生に前途やら未練やらをお持ちの方は
ヤメテおいた方がいいだろう
野暮を承知で申し上げねばなるまい
くれぐれも自己責任で
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最後まで読んでくれてありがとう
赤目は地元の人も欲しがる河豚ですが、箱河豚は・・・食べれるんですか?
まして肝・・・なんて(怖
御無事でなによりでした(*_*;
磯トンボさん、おはようございます。
コメントくださり、ありがとうございます。
ハコフグは無毒といわれていましたが、しばらく前に中った人が出たそうです。
何万匹と喰われているなかの一例ですから、宝くじに当たるようなものですが、それでも規制せざるを得ないのでしょうね。
ワタクシはそんな強運は持ち合わせていませんので、かまわず食い続けます(笑。
あっしもハコフグファンでございやす。
今度ぁ渓流仕様の細仕掛けで何とか喰わせる悶絶釣りを試したいと思いやすw
んー、あの脂ボーボーのホイル焼きで一杯やりてえもんです( ^^)
御免なすって♪
長く大分にお住まいだったのですね。
私は臼杵に親友が住んでいまして、
結婚後の旅行で行った時に、噂のブツを食べました。
ハコフグもうまいのですね。
一回しか揚げたことはないですが、今度ぜひ
食してみようと思います。
もちろん”自己責任で”(笑)
海おとこさん、おはようございます。
コメントくださり、ありがとうございます。
海おとこさんもハコフグを愛好されてますか。
タマン針で仕留めるのはちょっと難儀ですね。
まったくボーボー焼の炎は盛大なもので、ビビッてつい消火器に手が逝ってしまいます(笑。
もも兄ぃ さん、おはようございます。
コメントくださり、ありがとうございます。
新妻とフグキモをよばれましたか、なかなかエキサイティングですね。
臼杵のフグは世界一旨いです(笑。
トラフグほどではないですが、ハコフグの肝も悪くないですよ。
何よりタダですし(たぶん)無毒ですし。
9月は色々と仕事でトラブルが起こり、気がつけば神無月。
咲いたマンさんのブログも更新されておりました。
ハコフグは私も食しました。嫁や息子はフグって事で箸つけませんでしたので、幸いとばかり少ない身と肝を堪能できました。
また食べたい^ ^
カツさん、おはようございます。
コメントくださり、ありがとうございます。
最近お見えにならないと思ったら、お仕事が大変だったのですね。
息抜きに延べ竿片手に、漁港でハコフグ狙いはいかがでしょう。
ピロピロと泳ぐ姿を見るだけでも癒されますよ(笑。