裏の畑の桑の実を
小籠に摘んだは幻か
唱歌が好きです
俺はガキの頃イジメられっ子だった
小学校低学年の年頃だから大したイジメではなかったが
俺のココロは確かに傷ついていたと思う
まだ幼くて愚かだったからどうしてイジメられるのかも分からず
抗うすべもなくその不条理にただ呆然と絶望していた
幼いなりにプライドもあるから親にも言えず
まったくの孤立無援と思っていたがそれは子供の了見で
群れに交われない俺を教師たちは察していたのだろう
音楽の女教師は俺によく声をかけてくれた
ガキの俺にはずいぶん大人に思えたが
今思えばまだ大学を出たばかりの色白の娘だった
イメージ画像です
女教師は俺を音楽教室に招き入れると
オルガンの前に椅子を並べて隣に座らせた
咲いたマン君一緒に歌おう
俺たちは童謡の「赤とんぼ」を一緒に歌った
そして女教師は子供には難解な歌詞の意味を解説してくれた
喰い意地の張った俺は2番の歌詞の「桑の実」に反応した
紫色をしていて甘くて美味しいのよ
「桑の実」を知らない俺に女教師は話してくれた
学校帰りに寄り道して内緒で摘んで食べたの
指もクチビルも紫色に染まってしまって
お母様にバレて叱られてしまったの
女教師の柔らかな笑い声がココロの傷口に沁み込んでいく
桑の実は俺にとってかけがえのない喰い物になったのだ
...
その昔カイコの餌として栽培された桑の木は
よほど繁殖力が強いのだろう
養蚕の絶えた今でも結構いろんな所に生えている
鳥に喰われて種が運ばれるのか
山奥の沢筋から住宅地の庭先まで
どこにでも生えるからご存知の方も多いだろう
確か鵜原漁港の山際にも生えていたな
俺の庭にも生えてきた
その実はマルベリーなんてスカした名前を付けられて
高級フルーツ店なんぞで売られていたりもするから
つい買ってしまって喰ってはみても
やっぱりただウスラ甘いだけの何の変哲もない桑の実で
ああしまった損をしたと思ったこともある
でも桑の実は俺にとって特別な味わいの果実だから
梅雨入りの時分にはいつもその実を喰いに出かける
その頃まさに旬を迎えるヤマメを釣りがてら
桑の実の果汁でココロの渇きを癒すならわしなのだ
...
関越道を北に走る
久しぶりだ
天然のヤマメの旨さを決定する要素はいくつかあるが
一番大切なのは旬であることだろう
何時かと言えば梅雨時で明けると不思議に味は落ちてくる
そして俺の経験では北の地方へ行けば行くほど
また上流域に上れば上るほど旬の期間は短いようだ
郡上八幡では「五月アマゴにゃアユ負ける」と言われたそうだが
言い伝えは陰暦だろうからやっぱり6月頃がピークなんだろう
...
次に大切なのはエサが豊富であること
クロカワムシでもヒラタでも川虫を飽食して
ポッテリ太ったヤマメが旨いのは説明するまでもないだろう
...
三つめに大切なのはヤマメの育ち具合だ
旬の時期でも沢で育った鼻が曲がったような
立派なヤマメは釣って嬉しいが旨くない
喰わずに写真でも撮って逃がしてやったほうがいい
昨秋産卵に参加しなかった三寸くらいの
新子と呼ばれた個体は梅雨の今頃になれば
川にもよるが六寸くらいに育っているだろう
そんなヤマメが骨まで柔らくて一等旨い
...
最後に挙げたいのは水質だ
アユほどではないがヤマメの味に影響すると思う
生活排水の流れ込むような汚い感じの川のヤマメの
皮目や身肉に臭いを感じるのは気のせいだろうか
だが水のキレイさと川虫の多さは相反する場合も多く
ちょっと微妙な要素かもしれない
...
それがどうしたとおっしゃるか
ノーガキばかり垂れてないで旨いヤマメを釣って見せろと
言われてしまえばまことにその通りで
だからありていに申し上げましょう
俺の知る限り群馬県は利根川本流の
それも中流域に育つヤマメが一番旨い
今日は渋川 I.C.で降りてそんな旨いヤマメを釣りに
物見高い皆さんをご案内したいと思うのだ
...
利根川の源流域にはいくつものダムがある
八木沢ダムかな
群馬・新潟の国境で名だたる豪雪地帯だから
それらのダムは雪解け水を満々と湛えている
飲料と農工業用水のためその冷たい雪解け水は
夏になるまで利根川に放流され続けるのだ
だから昔では思いもよらなかった下流域まで
聞けば埼玉との県境あたりまでヤマメはいるらしい
上水を取るから水質はキレイに保たれているし
石の豊富な大河川だから川虫も多い
そんな言わば人工的な特殊事情で
利根川中流域には旨いヤマメが棲んでいるのだ
...
駐車スペースに車を止めてまずは深呼吸
群馬県は養豚が盛んだからちょっと臭かったりする
おやっ農村には似合わないネオンが光ってるぞ
成魚放流中?
これは上流のダムが放水しているとの警告で
サイレンも鳴るようだから注意してほしい
どれ河原に降りて見てみよう
全力放流中w
こんな時の本流筋には決して近づいてはいけない
石はノリのついた冬場の磯のように滑るし
一抱えもある大きな石が浮石だったりもする
流されたらどんなに泳ぎが達者でもまず助からないだろう
だから石に腰かけて魚肉ソーセージを喰ったり
竹やぶに潜り込んででタケノコを探したり
桑の実を摘んで喰ったり
自然と親しんで過ごすのが分別ある釣り人というものだろう
...
熟した桑の実を口に含むとそのほのかな甘みが
幼い俺に優しく接してくれた音楽教師を思い出させる
その恋慕に似たものにココロ満たされていつまでも
梅雨の湿った空気の中にたゆたっていたいのだが
それではお魚釣りの話が進まない
そろそろ竿を伸ばしてみよう
...
こんな時にはどこを釣るか
流れが広がって水勢が穏やかになる平瀬を釣る
いい雰囲気だ
釣師なら誰でも考える簡単なことだが
実際話はそう簡単ではない
その瀬には渇水時でも流れがなくてはならない
どんなに良さそうに見えても渇水時に干上がっている流れでは
川虫はいないしそれではヤマメはつかないだろう
渇水の時、増水の時、中くらいの水の時
何度も訪れて川を観察し引き出しを増やせばいい
そんな条件に合う流れに立ち込むと
うひゃあ冷たい
水温8℃!
源流域よりも冷たい水だ
それでも石を返してみると
大漁だぁ
これが利根川の生産力
...
久しぶりのエサ釣りだ
釣れなかったらこれを喰おう
ポイント選びは毛鉤釣りより難しい
利根川の広大な流れのどこを釣ればいいのか
慣れないと分かり難いがやっぱりヤマメは流れに付く
川の中の川を釣るイメージと言えばいいだろうか
渓流域より難しいよ
石が大きいから流れを立体的にも見てエサを流すが
太くて強い流れは避けたほうがいい
そんな流れにはデカいヤマメが付いているからだ
喰い頃のポッテリ肥えた旨いヤマメは
そこそこの流れに付いていることが多い
...
広い利根川といえどもダムが全力放流中では
頃合いの流れはそう多くはない
石だらけの河原を歩いたり車で何キロも移動したり
俺の引出しからそんな流れを探っていくと
こんなヤマメが釣れるのだ
ポッテリですよ
アンバランスな体高とアタマの小ささを見て欲しい
肥える身肉に骨格の成長が追い付かないのだろう
腹を割けば川虫がみっちりと詰まっている
みっちりですよ
こんなヤマメが旨くないわけがないだろう
...
釣れるヤマメは23cm前後の型が多い
すくすく育って
これが昨秋新子だった他の川の18cm前後の魚に相当する
豊富なエサと広い生息空間で成長が速いのだろう
一雨ごとに大きく育っていくようだ
...
移動を重ねて拾い釣りをしたが
俺の引き出しももう尽きた
喰う分のヤマメは釣れたから
早く帰って料ってみたいと思う
料理篇に続く>>
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最後まで読んでくれてありがとう
懐かしいです。ガキの頃、牛舎の二階で蚕を飼っていた。
勿論、夏休みの宿題(飼育日記)・・・
毎日、近くの桑畑で葉を仕入れていて、桑の実を見つけた時の感動~今でも目に焼き付いてます。
手の平に一杯摘み、一気にほうばり食べる~(^^♪
川魚は豊富だけど、おしゃれなお菓子はない黒部の田舎でした。
放水サイレン~鳴ったら気を付けて下さいね。
料理ver~楽しみにしてます。
旬を逃さぬよう梅雨明け前ぇに逝きてぇと思いやす♪素敵なお話ありがとうございやした。
御免なすって♪
一昔前(10年前)友人宅近くの雑木林の中で見つけて、夢中で摘んで持ち帰りました。
ヤマメ美味しそうですね。
軽く塩ふって焼き過ぎないようにして^_^
一昨日太海に行ってまいりました。
潮もイマイチで散々ナマダに遊ばれた半日でした。
本日も拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
桑の実は古い枝にしか生りませんから、飼料に刈り込んでいた昔は、思いのほか実にはお目にかかれなかったと聞きましたが、やはりそうですか。
蚕を飼っていたなんて得難い思い出ですね(笑。
本日も拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
スレンダーがいいとか大柄がいいとか、タイプは人それぞれございましょうが、ヤマメに関してはポッテリをお勧めいたします。
旬の間にぜひ一度お試しください。
旬はやっぱり大切ですから、ワタクシもそろそろ夏場のクロダイを成敗しに、磯に出かけようと思います(笑。
本日も拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
おおっ、ついに漢釣り始動ですね。
ナマダ結構じゃありませんか。
今度は皮を剥がずにから揚げにして、奥様とプルンプルン祭りを開催することをお勧めいたします(笑。
本日も拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
そうなんです。偉そうにノーガキ垂れて釣れなかったら、クロカワムシ喰ってご容赦いただこうと、覚悟はしてました。
でもそんな羽目にはならず、ホッといたしました。
クロカワムシの旬は冬らしいですので(笑。
場所と水況を選ばない釣力、恐れ入ります。喰ってうまいは6寸=18~19.上流よりも中流階級、しかしあんまり汚れすぎててもダメ。実年齢にアンバランスなぽってりした体。。だんな、たぶん近いうちに、夢の中で釣り上げたヤマメはきっとセー〇ー服きてますぜ(爆)
本日も拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。
なんと食べ頃のヤマメを年頃のムスメさんに例えられましたか。
岡崎よりさんは本当に女子高生がお好きなんですね(笑。
ヘンなところで竿を出して、お縄を頂戴したりしないよう注意してくださいね。