俺はたいていボンヤリしている
ガキの時分から放心状態に陥ってしまうクセはあったが
最近特にその傾向が強い
たぶんボケ始めているのだろう
それでもニンゲンとは上手くできてるもので
多少ボンヤリしていても普段の習慣に従って行動していれば
大過なく生きていけるもののようだ
俺の日常は何か五感に強い刺激でも受けない限り
たいていの行動は無意識無自覚のままに
生きているのか死んでいるのかも判然としないココロ持ちで
ゆるりゆるりと時を過ごしている
...
休日の未明たいてい俺は高速道路を走っている
長年の習慣がそうさせているのだろう
夏場は東北道のこともあるが館山道のことが多い
今日も俺はふと気が付くと館山道を走っていた
磯辺の小魚に餌でもやるかな
市原S.A.で汲んだタダのお茶を啜り
その熱さに覚醒しつつある俺のアタマに
NHKのラヂオの声が流れ込む
今日はズワイガニの解禁日だそうだ
福井県からの中継だから越前ガニだろう
漁を終えた漁師のサイト―さんがインタヴューに答えていた
カニが沢山獲れてよかったです、ハイ
これからも沢山獲れればいいなと思います、ハイ
沢山獲れてヨカッタなぁ...
そうだ俺もカニを獲ろう
俺は会ったこともない福井県の漁師に連帯した
...
生臭い足もとを見るとサンマが二匹
無意識で準備してたらしいw
国防軍堤防に釣り人はほとんど見えない
魚が入ってないのだろう
ちょっと寒いくらいの晩秋の風に吹かれながら
しばらく浸けておいたカニ網を手繰ると
小さなモクズガニが掛かっていた
腕の毛がヒワイ
モクズガニは結構旨いカニで
有名な上海ガニはその兄弟みたいなものだ
川から海まで日本中どこにでもいて
産卵のため川を下る秋が旬とされるようだ
このモクズガニには思い出がある
まだ若くサラリーマンだった頃俺は
通りがかった九州の山間の村で
モクズガニを売っている家を見た
その家の裏を流れる川は
もう渓流といっていい清らかな流れで
そこまで遡ってくるカニはとても大きく
地域ではツガニと呼ばれていたと思う
画像拝借
10匹で千円だったか2千円だったか
あとさき考えずに俺は即バイトした
アミに詰められておとなしく泡を吹いている10匹のカニを
俺は一人暮らしのアパートへ持ち帰ったのだ
...
夜遅くアパートに帰りついて俺はちょっと困った
次の日は上司のお供で大切な接待ゴルフだったのだ
悠長にカニを茹でて喰ってる暇はなく
早朝の出発に備えてすぐに寝なくてはならない
そこで俺は10匹のツガニを少し水を張ったバスタブに放った
バスタブの側面はツルツルしてるからカニは逃亡できまい
次の日にでも茹でてゆっくり喰おうと思ったのだ
その時は名案だと思ったのだ
だが俺はまだ若くモノを知らず甘かった
カニどもはバスタブに放たれるや否や走りだした
皆さんご存じのようにカニの動きは結構激しい
ガチャガチャと走りまわっては他のカニとぶつかり喧嘩をし
ガリガリガリガリと側面を登ろうとして登れない
浴室は瞬時にして発狂せんばかりの騒音で満たされた
俺は慌ててドアを締めてフトンにもぐりこんだが
カニの大騒ぎがうるさくてまるで眠れない
よく近所から苦情が来なかったものだと思う
カニは夜行性らしく朝まで騒ぎ続けていた
翌朝キイロく見える朝日に目をしょぼつかせながら
一睡もできなかった俺は上司を迎えに逝った
そして俺の人生のルールがひとつ増えたのだ
カニは獲ったらすぐ茹でる
...
次に細引きをひっぱりカニ網を引き揚げると
イシガニが付いていた
コイツも結構旨いよ
このイシガニにも思い出がある
そうあれは去年の今頃
やはり漁港でカニを獲っていた俺は
網に絡まったイシガニを外そうとして甲羅を触り
そのザラリとした感触に昔のあることを思い出したのだ
まだ若くサラリーマンだった俺にも好いた娘がいた
ニコニコ笑う柔らかな印象の若い娘だったが
足の裏がとても硬くザラザラしていた
どこもすべすべポチャポチャした若い娘だったが
足の裏とココロがザラザラしていた
電撃的にそんなことを思い出した俺は
半ば放心状態でカニの甲羅をナデテいて
手酷くヤラレた
そして俺の人生の格言がひとつ増えたのだ
カニのはさみと娘の股にご用心
...
今シーズンのカニ影はあまり濃くないようだ
まだ台風の影響が残っているのだろうか
いくつか漁港を回りやっと本命が来た
一荷で来ました
タイワンガザミに思い出はない
だか今シーズンもこれだけは言っておきたい
義援金ホントにありがとう
喰う分獲ったら長居は無用
早く帰ってカニを茹でよう
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
海釣り ブログランキングへ
渓流釣り ブログランキングへ
読んでくれてありがとう
本日も拙ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
カニ記事お気に召していただけたようで、何よりです。
無理して釣れない釣行記を書かなくていいのだと思えて、気が楽になりました(笑。
釣りから遠ざかる事一月あまり
一過性のものだと思うのだが、どうにも釣りに行きたいと思わない。
特にフカセのメジナは行きたいと全然思わないんですが。
では何がしたいのか?
そう今は猛烈にカニリタイ(笑)
カニ網も2つ仕込んだ
これは絶対に管理人様の影響であることは間違いない(笑)
コメントいただきまして、ありがとうございます。
不思議なもので釣りを含めたオアソビは、ちょっと薬物中毒に似てるのか、いったん禁断症状を乗り越えるとあまり欲しなくなってしまうものです。
そのまま真人間になれればいいのですが、katsuさんカニにココロ魅かれてしまいましたか。
カニ網二つも買って、なんとまあ業の深い(笑。
くれぐれも乱獲はお慎みください。
今日も拙ブログをお読みくださり、ありがとうございます。
そうなんです。カニ獲りとか貝拾いとか、まるで古代人に還ったような、ココロに原初的なヨロコビを感じてしまいますね。
レシピは茹でて食うだけです。
そのまま生で喰った方がより縄文チックなのですが、ワタクシそこまでのガッツは持っていません(笑。
今回の格言にも感銘を受けました。娘の股トラップにかかったのも、まだ自家製白子が供給過剰だったころの懐かしい思い出ですね。きっと。
イシガニって形からするとガザミの仲間ですよね、小生実はガザミは苦手なんですがイシガニはすごくうまいと思うんですよね、、何が違うんですかね??
ご本名でお越し下さり、誠にありがとうございます(笑。
カニ網を投げ込んだ後、ワタクシの活性が高い時は磯に降りて下見をしたり、イソメやルアーを投げて小魚を釣ったりしてます。
でもたいていはしゃがみ込んで蟻の行列を眺めたり、獲ったカニをつついたり、ボンヤリしてます。
本日も拙ブログにおいでいただき、ありがとうございます。
カニと娘の危険で甘美な罠につきましては、まだ現役のつもりですのでコメントは差し控えたいと思います(笑。
ガザミとイシガニの違いですか。
レスラーに例えるならガザミはジャイアント馬場、イシガニはアントニオ猪木といったところでしょうか。
寒い中拙ブログにおいでいただき、ありがとうございます。
緊張して滑る磯辺に立ち続けることと比べれば、平らなコンクリの上でまったりできるカニ獲りは、カラダにもココロにもとても優しいオアソビです。
ぜひご一緒にと申し上げたいのですが、達人の参入でいよいよカニ影が薄くなるのではないかと、ちょっと不安がよぎります(笑。